原稿用紙1枚辺り2,500円の相場は高い?安い?
Twitterに、文化庁が提示している原稿執筆料の目安を添付したところ、様々なご意見をいただきましたのでまとめました。
文化庁によると、原稿執筆料の相場は400字2500円だそうです。
— 山崎浅吏@女性向けシチュエーションボイスチャンネル始めました (@yamazakiasari) September 14, 2020
1KBだと3200円くらいですね。 pic.twitter.com/2AyHYxus6P
まずこの資料の出典ですが、文化芸術活動の継続支援事業の、募集案内PDFです。
コロナのせいで、コンサートや舞台など、人を集める公演が難しくなったが、今後新しい対策などを講じて活動を続けて行きたい団体・個人を援助するための補助金です。
演劇などで活動している団体が、経費として脚本家に支払う原稿料の標準価格は2,500円で、それ以上を支払う場合は、よっぽど高名だとか、何か理由がないと認められませんよという内容だと解釈しました。
私はこの資料を見つけたとき「ありがとう文化庁!」とガッツポーズしました。
なぜかというと、業界外の方から原稿を書いて欲しいとお願いされたとき、見積もりの根拠として提示できる資料がなかったからです。
依頼には、予算がないので1円でもいいから値切りたいというケースや、失礼にならない金額を提示したいが、そもそも基準がわからないというケースがあると思います。
この資料は「失礼にならない金額の基準」として使えると思いました。
私は今後、業界外の方から原稿依頼があって、相場がわかりませんと言われたら「国が外部に依頼する時の最低賃金が400字2,000円なので、それを下回らない金額でお願いします」と返そうと思ってます。
最低賃金については、この記事内で解説していますのでご確認下さい。
各業界によって反応が二分する結果に
このツイートに寄せられたコメントがとても面白いので、ぜひ引用RTを見て欲しいんですが、だいたいは以下のような反応でした。
業界外の方:安すぎるよ!?
WEBライターの方:1文字1円もらえればいいほう
ゲームライターの方:1KB(512文字)で1,000~1,500円しかもらえてません
小説家の方:昔は新人でもその2倍くらいもらってたらしいけどね
紙媒体・ベテランの方:安すぎる。そんな金額では請けられない
全体的には「そんなにもらえてないよ」という嘆きの声が多かった印象です。
確かにゲームシナリオ1KBの標準単価は1,200円とかそのくらいじゃないでしょうか。
1KB3,000円を超える依頼は、超大手のビッグタイトルとか、ライターの名前を出すだけで販売本数が見込める大物にならないと提示してもらえません。
じゃあ、文化庁が目安とする原稿用紙1枚:2,500円をもらえていないライターは、不当に買い叩かれているのか?
私は、そうではないと思っています。
原稿料の最低賃金は400字あたり2,000円である
私のtweetを引用RTして下さった方が、面白い資料を見つけてくれました。
これは、省庁がライターに原稿を依頼するときの目安の金額です。
文化庁の補助金とは少しニュアンスが違いますが、算出基準としては共有されてると思います。
記事執筆、脚本、ゲームシナリオなどは「不特定多数の方に向けた物」に該当するので、下限が2,000円、上限が2,900円です。
文化庁の助成金は、間を取って2,500円を標準価格と定めたんだと思います。
となると、原稿執筆料の最低賃金は400字2,000円(KB換算だと2,500円)になるのでは?
この資料を元にクライアントと交渉できる?
結論から先に言うと、無理です。
希望を打ち砕くようで申し訳ありませんが、私のtweetを見て「やった、これをクライアントに突きつけてやるぜ」って方はさすがにいないと思いたいです。
文筆業の方々の多くは「自分が書いた文章に値段をつけるのは本当に難しい!」と感じているのでは。私もそうです。
原稿といっても、小説、雑誌記事、WEB記事、ドラマ脚本、ゲームシナリオ、媒体があまりにも多岐にわたりすぎていて、業界の基準もバラバラ。この基準値を算出した方も、かなり苦労されたのでは。
その中でも、ゲームシナリオやWEB記事は、基準以下で買い取られているので、交渉できるならしたいですよね。
「文化庁は、1KBあたり2,500円が最低賃金と定めてるのでギャラ上げてください」
とお願いしてみて、成功した方がいたらぜひご連絡下さい。
ほとんどの方は「じゃあ他の方に頼みますので今回はご縁がなかったということで」となってしまうのが目に見ているので、口に出せませんよね。
なぜゲームやWEB業界のギャラが安いのか。
需要と供給のバランスのせい、としか言えません。
世の中にある執筆関係の仕事に対して、書きたい人の数が多すぎるんですね。
他の専門職の相場についての反応
Twitterに添付した資料は、原稿料の他にも、演奏料とか、翻訳料についても基準が示されていました。
引用RTいただいたなかで、深く頷いたのは「原稿執筆料より翻訳料の方が高いのは解せない」というご意見です。
クリエイターとしては悲しい現実ですが、文章を書ける人材よりも、翻訳ができる人材の方が圧倒的に少ないのでそうなっているんだと思います。
需要<供給な業界ではギャラが下がりやすい
相場より安い金額が業界の基準になっているクリエイターさんは、自分がいる場所について、よく考えて欲しいです。
供給過多になっている業界では、どんなに頑張っても見合う対価をもらえないかもしれません。
山ほどいる人材の中から抜け出して、トップに立てる人間だけが相応の報酬をもらえる、厳しい世界です。
外注だけが生き残る術じゃない
私はシナリオライター講座の講師をしたり、このブログでも未来のライターを育てようと思っていた時期がありました。
ですが、供給過多なだけでなく、需要が減っている業界に人材を送り出すのは得策ではないのではと、悩んでしまいました。
以下の記事を書いたのがちょうど2年前ですが、私が本当に言いたかったことを読み取って下さった方が、どのくらいいたのか……。
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フリーランスのクリエイターとして長く活動したいなら、供給が追いついていない業界はどこなのか、成長産業は何があるか、他のマネタイズ方法はないのか、常にアンテナをはっておくべきです。
特に新人の方は、レッドオーシャンで苦しむより、ブルーオーシャンで勝負した方が、圧倒的に早く結果が出ます。
そして、自分のファンコミュニティを作って下さい。
同じ業界にいて、日々の作業に追われていると、思考停止になりがちですが、思い切って別の業界に飛び込んでみると、目から鱗が落ちるような新しい発見がたくさんありますよ。
それでも夢を追いたいというクリエイターの方も、新しいチャレンジを始めている方も、幸せな未来のために一緒に頑張りましょう!