執筆した小説が音声化、アニメ化される前にこれだけは知っておきたい!
自分が書いた作品がドラマCDになったり、アニメ化されたり、作家志望の方であれば誰でも憧れるシチュエーションですよね。
実際にその夢をつかむ前に、知っておくとためになる裏話をまとめました!
こんな方におすすめ
- 収録に立ち会う前に心構えを知っておきたい
- 原作者にどの程度の権限があるか知りたい
- 収録時に声優さんのサインはもらえる? LINE交換はアリ?
- アニメ化すると、原作者はどのくらい儲かるの?
あなたが書いた小説が音声化したとき、できること、できないこと
自分の書いた小説がアニメになったり、ドラマCDになったり。
メディアミックスは作家にとって、なによりのご褒美ですよね!
もし決定したら、こんなふうに浮かれてしまうかもしれません。

今「うんうん」とうなずいた方。
心の中ではそう思っていても、担当編集さんにあきれられるかもしれないと思うと、怖くて言い出せないんじゃないでしょうか?
できれば、どれがセーフでどれがアウトなのか、常識の範囲を知っておきたいですよね。
この記事ではそんな方のために、収録現場や業界の裏話をお伝えします。
小説を書いた原作者のキャスティング権限について
自分の著作が音声化されるとき、作家にキャスティング権限があるかどうかですが、基本的にはあります!
よほどの無茶ぶりでないかぎり要望は通ります。
では、どういったレベルになると無茶ぶりになるのか。
具体的にNGなのは、こんな要望です。
そのジャンルに出演していない声優さんに出て欲しい
ギャラが高額すぎる超大御所に出演して欲しい
まったくの無名声優さんをメインキャストに推したい
一部ではなく全キャストを指定したい
上記4つについては基本的に無茶ぶりになりますので、ごり押しして担当編集さんを困らせないように注意して下さい。
特に、乙女系、BL系に出演していない声優さんは事務所NGになっている可能性が高く、どんなに交渉しても無理です。
超大御所声優さんは、一切のNGなし、仕事はまったく断りませんという方もいらっしゃるのですが、ギャラが高額すぎるのでアニメはともかくドラマCDの予算では難しいですね。
まったく無名の声優さんをキャスティングしたい場合は、端役であれば可能性はゼロではありません。
ただ、主役、準主役級になると、基本的にOKは出ないと思います。
理由は、実績のない声優さんだと売り上げの予測が立てられないなど色々とありますが、もしあなたの作品がものすごく有名で、誰が演じても絶対に売れる!という状況であれば通る可能性は少しアップします。
最後に、一部ではなく全キャストを自分の思い通りにしたい場合。
これもできればあきらめて下さい。予算やスケジュールの兼ね合いで音響監督さんが死にます……。
要望を出す場合は、基本的には主役、準主役程度にとどめ、1人ではなく2~3人選択の幅を持たせておくと、制作会社も音響監督さんもすごく助かります!
無茶ぶりっぽいけど意外に通る小説家、原作者の要望について
次に、無茶ぶりっぽいけど意外と通ることもある要望についてもお知らせします。
自分がアニメ、ドラマCDに出演したい
キャスト全員の寄せ書きサインが欲しい
自分自身も声優になりたいと思っていた時期があって、せっかくの機会なのでキャラの声を当ててみたい。
こういう要望を持っている作家さんが意外と多いですが、一言レベルの端役やガヤ(個々の声が判別できない賑やかし)であればすんなり通る可能性があります。
実は、極端に女性、もしくは男性声優さんの数が少ない現場の場合、原作者やスタッフが全員でガヤに参加しなければ収録が終わらないという状況が発生することも……。
もちろん、絶対出演したくないと言い張る原作者が無理矢理ブースに入れられることはないですが、そんなこともあるんだなぁと頭の片隅に入れておいて下さい。
次にサインの件。これは結構難しい問題で、収録現場で個人的にサインをもらうのは絶対にNGですのであきらめて下さい。
もしもらえる可能性があるとしたら、編集部や制作会社などが、販売促進キャンペーン用にサインの寄せ書きなどを声優さんに依頼する場合。
このとき、原作者の分として1枚多めに欲しいとお願いしておけば、入手できることもあります。
事前の根回しなしでは絶対に無理なので、どうしてもという方は担当編集さんとよく相談して下さい。
小説を書いたあなたが、収録に立ち会う前の注意点について
原作者は、自著が音声化される際、収録に立ち会う権限があります。
なぜかというと、声優さんの役作りが自分のイメージと合っているかチェックする必要があるからです。
ここでひとつ、これから作家になる皆さんの心にとめておいていただきたいことがあります。
キャスティングをすべてお任せにした後に、「この人はイメージが違う」みたいなことを収録現場で言うのは避けましょう。
声優さんはプロですから、声の高低など演技の幅があり、最初にテストした声がイメージと違っても、要望を伝えれば調整してくれます。
ただ、声優さんにも得意な音域がありますので、すごく声が高い方に低めの声でとリクエストしたり、年配の方にもっと若々しく演じて欲しいとお願いしたり、あまりに無茶な要望は現場が混乱するのでやめてください。
音声化が決まったらサンプルボイスをもらえるので、必ず一度は聞いて、自分のイメージと違いすぎないか確認して下さい。
正式な決定前であれば変更は可能です。
小説を書いたあなたが、収録に立ち会うときの振る舞いについて
もしあなたの小説が音声化され、実際に収録現場に行くことになったとします。
そこには、あなたが長い間憧れた声優さんがいるかもしれませんよね。
お話もしたいし、顔を覚えて欲しいし、あわよくば連絡先を交換したいなんてことを考えてしまうかもしれません。
ですが、その現場にいる人たちは全員仕事をするために集まっているということを決して忘れてはいけません。
収録は、声優さんとのファンミーティングではないんです。
スタッフは全員、少しでもいい作品を作り上げようと集中しています。
そんな中に、浮ついた気持ちで場の雰囲気を壊す人がいたらどう思われるでしょうか。
間違いなく嫌われますし、場合によっては出入り禁止になることもあります。
収録現場は基本的にラフな格好の人が多いので、スーツなどかしこまった服装で行く必要はありませんが、過度に露出した服などは絶対に避けましょう。
また、強引に連絡先を得ようとする行為もあまりお勧めできません。
どうしてもと言う場合は、自分の名刺を渡すだけにとどめましょう。
名刺交換はビジネスとして必要な行為ですので、基本的にとがめられません。
個人事務所で活動している声優さんは名刺を持っている確率が高いので、大御所声優さんと名刺交換できることもあります。
小説などが音声化されるときの、収録の日程について
スタジオは基本的に都内なので、遠方の方はスケジュール調整などが大変ですが、収録日に関しては融通が利かないことも多いです。
もちろん原作者や担当編集さんの立ち会いなしでの初回収録はありえないので、ある程度の要望は聞いてもらえますが、人気声優さんの場合、ここを逃すと何ヶ月も先にならないとスケジュールが空かないみたいなことは日常茶飯事です。
60分~70分のドラマCDの場合、だいたい1日で収録は終わりますが、声優さんのスケジュールによっては日をまたぐこともあり、原作者が遠方の場合は何度も上京しなければならなくなるので、最初のキャラ合わせ(キャラクターの声がイメージ通りかどうかのすり合わせ)のみ確認して後は担当編集さんにお任せ、のような方も多いです。
小説家、原作者が収録現場に持って行く差し入れについて
収録現場にはケータリングといって、ある程度の軽食やお菓子、飲み物などが用意されていることが多いです。
ですが、地方から上京する原作者さんが地元の銘菓を差し入れることもよくあります。
ちょっとした話題のきっかけにもなるので、負担にならない程度の軽い物を持参するのもオススメです。
ただし、手や服が汚れる食べづらいものや、喉を痛める辛い物などは避けましょう。
小説のメディアミックス、グッズ販売で原作者が得られる収入の相場は?
次は、アニメ化したときの金銭的なメリットについてお伝えします。
小説家に支払われる原作使用料の相場は1話あたり10万~20万円
自著がアニメ化された場合、原作者に支払われる使用料は、だいたい1話あたり10万~20万円が相場のようです。
1クールが13話なので、130万~260万ですね。
アニメは制作費が高額で、よほどヒットしなければ回収が難しいため、原作者に支払われる使用料も抑え気味になっています。
思っていたほど大きい金額ではないなと、残念に思うかもしれません。
ですが、アニメをきっかけに書籍が増刷されることもあるので、印税という形で原作者の懐は潤います。
執筆した小説がゲーム化した場合のロイヤリティ
執筆した小説がゲーム化されたときに支払われるロイヤリティは、だいたい3%程度だと言われています。
コンシューマと言われる家庭用ゲーム機(任天堂switchなど)と、スマホで遊べるソーシャルゲームで事情は変わってくると思いますが、後者の場合は長くサービスが続いてくれれば、ロイヤリティが継続的に入ってきてとてもおいしいです。
小説の登場キャラクターがグッズ化したときのロイヤリティ
執筆した小説に登場するキャラクターのイラストなどがグッズ化された際、原作者に入ってくるロイヤリティは、かなり幅があります。
下は3%から上は20%程度まであるようですが、間に出版社が入るため、どの程度の金額が入ってくるかは未知数です。
よほどの人気キャラクターでもない限り、大きな収入は期待しない方がいいでしょう。
ココがポイント
・原作者にはキャスティング権限がある
・自分が声で出演したいという要望は意外と通る
・サインは事前の根回しなしでは絶対にもらえない
・収録の日程は人気声優さんの場合融通が利かないことも
・収録現場には仕事で来ているということを忘れてはいけない
・連絡先の交換は名刺を渡す程度ならOK
・差し入れは地元の銘菓などが喜ばれる
・アニメ化したときの原作使用料は1話あたり10万~20万円
・ゲーム化した場合は3%
・グッズ化した場合は3%~20%
以上、音声化にまつわる業界裏話でした!